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Channel: ニュース –スタイレム瀧定大阪株式会社
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スタイレム、東京にスワッチギャラリー開設 ストック素材の利便性打ち出す

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スタイレムは、神宮前の東京オフィスにストック素材のスワッチギャラリーを開設した。これまで各課が個別に管理していたものをーカ所に集約し、生地選びやスワッチ発注の利便性を高めることが狙い。小ロット・短納期が強みのストック素材で、一段と顧客サービスを充実させるほか、社内連携の強化による製品一貫の取り組み拡大も目指す。

5月の東京オフィス移転に伴い、ビルー階の入り口すぐに、全ストック素材の65%、約2000マークのスワッチを並べた。中身は毎月入れ替え、店頭の2~3カ月先を意識したトレンド素材を揃える。インデックスとして担当課ごとに、ウールやポリエステルなどの生地の組成、厚さで分類したブックを作成。利用者はブックを参照してイメージに沿ったものを探すことができ、注文票に品番を記入すればスワッチを即日持ち帰ることが可能だ。

利用は予約制で、基本的には既存客が対象。利用者の社名や持ち帰った品番などの情報は各担当課にフィードバックされ、後日の個別営業につなげる。「ストック素材が整理・一覧化され、部署間の連携が取りやすくなった。生地から製品一貫の取り組みにつなげていきたい」(飯田悟司取締役テキスタイルマテリアル事業部長)と、社内での相乗効果も見込む。

2016年(平成28年)6月7日 火曜日 繊研新聞4面


繊維商社のスタイレムがイタリアのカリスマアートディレクターを起用 海外向けテキスタイルブランド「ZEN BLACK」始動

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繊維商社のスタイレムは2017-18年秋冬向けから、イタリアを代表するテキスタイルディレクター、マウロ・クレリチをアートディレクターに起用したテキスタイルのコレクションライン「ZEN BLACK(ゼン ブラック)」をスタートする。イタリアのディレクターが現場のもの作りにまで関わって日本のテキスタイルをディレクションするのは珍しく、ヨーロッパ的な感性や企画力と日本の優れた技術を融合し、欧米のハイエンド市場に切り込む。スタイレムの谷田修一・取締役はクレリチ氏の起用について、「クレリチ=アートディレクターはイタリアだけでなく中国でのもの作りも経験しており、一緒に日本の産地を回った際には、工場にある一部の工程を見ただけで、その工場の強みや特徴、プライスラインまでをすぐに把握できるほど、テキスタイルに精通している世界的にも稀有(けう)な人物。日本の強みも弱みも把握した上で、世界のトップ市場で通用するコレクションを展開する」と意気込む。「ZEN BLACK」は9月のパリで開催されるファッション素材見本市「プルミエール・ヴィジョン」で発表する。

クレリチ=アートディレクターはイタリアを代表するテキスタイルメーカーであるネロ・ス・ネロ社の創業者で、同社が11年にイタリアの大手繊維メーカーのリモンタ・グループ入りした後は、リモンタ・グループのアートディレクターに就任していた。「ZEN BLACK」はクレリチ=アートディレクターが指揮を執り、ニットの産地である和歌山や先染め織物の新潟、合繊の北陸、ウールの尾州、ジャカードの米沢など日本の有力な産地企業と共同でテキスタイルを開発。欧州のハイエンドブランドをターゲットに、メンズやスポーツ、ドレス向けのウールやニットなど約300品番で構成する。

スタイレムはグローバル販売の強化を掲げ、海外のハイエンド市場向けのテキスタイルブランドとして、すでに日本の有力産地メーカーとコラボレーションした「C.O.T.O.(シー・オー・ティー・オー)」、国内のテキスタイルをベースにした「ZEN kiwami(ゼン キワミ)」の2ラインを展開。13年にはイタリアに現地のテキスタイルデザイナーを起用したテキスタイル会社スタイレム・イタリアを設立していた。谷田取締没は「これまでの取り組みは、欧米市場にテキスタイルを供給するための、サプライチェーンを築くファーストステップ。次はその元になる商品企画を高めることで、もう一段上のステージに上げられる」と狙いを語る。

今後はこうした取り紐みを、同社だけでなく、日本全体にも広げていきたい考えだ。「今回の取り組みで、世界に出るための課題が明確になった。技術を生かした商品企画や価格のバランスなど学ぶことは多い。すでにクリエイションが世界で認められ、ビジネスとしても成功している日本のテキスタイルメーカーも数社存在するが、数で見ると圧倒的に少ない。日本のテキスタイル全体の活性化には、そうした企業がもっともっと増える必要がある。今回の取り組みを、そのきっかけにできれば」と言う。

問い合わせ先:スタイレム 06-4396-6500(代表)/企画・制作:WWDジャパン

2016年(平成28年)6月13日 月曜日 WWDジャパン22面

服地コンバーター 中国向け輸出伸び 高付加価値にニーズ

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服地コンバーターの中国向け生地輸出が好調だ。減速が言われる中国経済だが、市場の成熟に伴い感度の高い現地アパレルメーカーが台頭している。意匠や風合いを重視した日本の上質素材を求める声が増えてきた。

中国の消費は拡大している。15年度社会消費品小売総額は30兆元を超え、前年比10%の伸びが続く。アパレル市場では量販ブランドが苦戦する一方、デザイナーブランドや高級アパレルが健闘。トレンドを重視する新興アパレルも誕生し、日本のコンバーターの付加価値の高い生地が注目されている。

「1メートル1000円台後半~4000円の意匠素材が売れている」というのは、日本とイタリアで開発した独自素材を輸出するクリスタルクロス。「受注数量は最大2000メートルまで。展示会場での現反の発注は断る」と強気で臨む。量を追求せず、相手企業の商品や考え方を理解してからビジネスを進める販売姿勢が、信頼とブランドカにつながっている。今年は得意先の倍増を見込む。

スタイレムは15年度、中国事業の売り上げが前年比50%増と大きく伸びた。上海、深圳を中心に幅広い素材が認知され、新興アパレルの開拓も実った。双日ファッションも生地輸出は堅調だ。「染色の良さや安定した品質」に加え、1300マークを短納期で届ける体制や、人民元決済の利便性も支持されている。

サンウェルは、上海法人は苦戦したが、トリアセテートや風合いを重視した日本素材の輸出額は15年、2ケタ増で推移した。昨年初出展した伊素材展ミラノウニカでも中国客の来場が目立ち、「中国アパレルの成熟と意欲を感じた」という。

日本市場が停滞する中、中国での販路開拓は最重点の課題だ。スタイレムは、16年度中に北京に拠点を立ち上げる。拠点を拡充し、トレンド素材を短納期で安定供給できる強みを打ち出す。サンウェルの上海法人は昨年から、中国・現地メーカーへの販売に力を入れている。在庫素材の上質化や現地企画の拡充で提案を強化する。柴屋は今年、約10年ぶりにインターテキスタイル上海への出展を再開した。

2016年(平成28年)6月16日 木曜日 繊研新聞1面

スタイレムが千駄ヶ谷に「スワッチギャラリー」を開設 最旬テキスタイル2000品番を、その場で見て受け取れる

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服地卸大手のスタイレムはこのほど東京・千駄ケ谷に、約2000点の最新のテキスタイルサンプルの閲覧・セレクトが可能な「スワッチギャラリー」をオープンした。スタイレムと取引のある企業なら、予約の上使用できる。開設の狙いを飯田悟司・取締役は、「トレンドの移り変わりが激しく、細分化の進む日本のアパレル市場は難しい時期に差し掛かっている。このスピードを求められる市場環境だからこそ、お客さまに、よりタイムリーに商品を見ていただくことが重要だ。当社の強みであるテキスタイルを、見たいときに見に来ていただき、お客さまに利便性を感じていただけるサービスを提供したい」と語る。テキスタイルの見本は同社の課ごと、あるいは素材カテゴリーごとにファイリングされており、利用者はその場でスワッチサンプルを受け取れる仕組みになっている。

同社は服地卸の日本最大手で、独目のリサーチカと企画力を武器に特にウィメンズ向けで圧倒的なシェァを持ち、随時約3000品番以上のテキスタイルを独自に企画・生産・リスクしてきた。「かなり前からお客さまの、当社で扱うテキスタイルを一度に見たいというニーズは強く、今回の開設は課の垣根を越えた事業部制の運営により実現できた」と飯田取締役。この数年間でグループ全体での総合力を発揮する経営方針にシフトし、ITを取り入れたテキスタイルの管理も進化する中で、「すでに社内的にはほぼ全ての品番を共有できるプラットフォームは整っていた。このプラットフォームをオープン化しながら、お客さまへのサービスを拡充するために綿密な準備を行った」という。ブック帳の全てのスワッチサンプルには棚番号が振られ、持ち帰り用のスワッチサンプルが納められた棚はフリーロケーション管理になっている。そのため、スワッチサンプルの入れ替えなとの商品管理からユーザーの使い勝手まで、きめ細かく配慮と工夫を凝らした。「スワッチギャラリー」はシーズン性を考慮した展示内容となっており、月ごとに商品の入れ替えを行う。

スタイレムは4月、大阪の本社内に海外の貴重なアーカイブスや雑誌・書籍を集積した「アーカイブ&ギャラリー」も開設している。大阪本社の「アーカイブ&ギャラリー」では数多くの情報の中でファッションブランドのクリエイションを触発し、そこで生まれたアイデアを具現化する場として、一方東京の「スワッチギャラリー」ではスタイレムの幅広いリスク商品をタイムリーに提供できる場として、2つの異なる時間軸のサービスが新たに整った。「スタイレムはテキスタイルを軸とした情報力が武器。こうした部分をお客さまと共有しながら、ファッション業界全体の活性化に寄与していきたい」。

SWATCHES GALLERY
・テキスタイル
約2000点(月ごとに入れ替え)

・住所
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前二丁目34-17 住友不動産原宿ビル1F

問い合わせ先:スタイレム 06-4396-6500(代表)/企画・制作:WWDジャパン

2016年(平成28年)6月20日 月曜日 WWDジャパン31面

スタイレムの国内テキスタイル事業 個別提案を強化 社内連携で製品一貫

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スタイレムの国内向け生地を手掛けるテキスタイルマテリアル事業部は、顧客ニーズに応じた個別提案を強化している。商品ポートフォリオの見直しや素材管理システムの拡充により、社内体制も整った。「素材開発と並行して、スピードや価格でも価値が感じられる提案に力を入れる」(飯田悟司取締役同事業部長)。

「事業環境が厳しいなか、掘り下げた丁寧な提案が必要」と、顧客のイメージやタイミングに応じた提案を強める。数年前から全課が参加する総合素材展を、年6回から4回に削減。課や顧客別の個別商談会を増やしており、今後もターゲット別の提案を強める。

グループ内連携による製品一貫提案も注力する。5月の東京オフィス移転に伴い、生地と製品部門の距離が縮まり、部署間の情報共有もスムーズになった。海外拠点を活用した製品一貫の取り組みで、スピードやコスト優位性を訴求。差別化と価格競争力の両立を求める市場ニーズに応える。

6月、約2000マークのスワッチを即日持ち帰れるスワッチギャラリーを東京オフィスに開設。多品種・小ロット・短納期が強みのストック素材で、選択の利便性を高めた。また今年度中に、着分発注サイト「スタイレム・ウェブストア」で、原反発注までサービスを拡張する予定だ。素材、サービスの両面で多様化するニーズへの対応を進める。

同部は15年度、店頭不振の影響を受け百貨店アパレル向けは苦戦したが、好調なセレクト系アパレルやヤング小売大手との製品一貫が実り、売り上げは横ばいとなった。16年第1四半期も前年並みを維持。16~17年秋冬向けでは、昨年の暖冬から数量を絞る企業も多いなか、ウールや厚地も例年並みに仕込み、目標達成を見込む。

2016年(平成28年)6月22日 水曜日 繊研新聞4面

スタイレム17春夏 「光沢感」強めに意識 楊柳や先染めにも注目

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スタイレム(大阪市中央区)の服地部門は17春夏に向けて、「光沢感」を強く意識した各種素材を打ち出すほか、スポーツとエレガンスとのミックス、ナチュラルと装飾性の融合などを試みた付加価値素材を取りそろえる。

17春夏に向けて用意するテーマは「ネオ・ボヘミアン」と「シティー・アスレチック」の2つ。シティー・アスレチックはトレンドに浮上する“アスレジャー”の流れを意識したもので、日常着とスポーツテーストを組み合わせたカテゴリー。

光沢の強い糸や箔加工で光沢感を表現したものを軸に、トレンドのリブジャージ、ハリコシのある布帛ライクなジャージ、各種天然素材と掛け合わせたオリジナルのトリアセテート素材などを打ち出す。

レジメンタルストライプや定番のサマーウール、綿ライクなポリエステルのタイプライタークロスタイプ、強撚のジャージなども「サマースタンダード」として即納体制をアピールする。

ネオ・ボヘミアンはきれいめのナチュラル素材と装飾性の高いレースやジャカードがポイント。注目は同シーズンのトレンドに急浮上する楊柳のバリエーションで、無地だけでなくジャカードやプリントの下地としても、ひと味違った楊柳を用意する。

また、シャツ地の流れが依然根強いことを受け、チェック柄を中心に先染めを充実するほか、そこに相反するフェミニン要素を加える担い手として、レースも増強提案する。パリ「プルミエール・ヴィジョン」でも一番人気だった、経糸、緯糸ともにネップを使った帆布ライクな高密度綿100%織物もこのテーマの中で訴求する。

このほど大阪市内で開催した17春夏向け展示会は2日間とも来場者が押し寄せ盛況だった。4月に開催したプレビュー展に引き続き、課ごとにブースを設営した訴求方法も好評で、それぞれの課が趣向を凝らした独自の提案も注目された。

引き続き東京展を、29日~7月1日の期間、東京都港区の外苑前テピアで開催する。

2016年(平成28年)6月27日 月曜日 繊維ニュース3面

PVパリ17~18年秋冬展 日本の出展者が決定 ファブリックには41社・ブランド

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9月にパリで開かれる国際素材見本市、プルミエール・ヴィジョン(PV)パリ17~18年秋冬の日本出展者が決定した。主軸であるテキスタイル見本市のPVファブリックには、興和、柴屋が初出展し、出展者数は前年9月展比4社増の41社・ブランド(ニットウェア・ソリューションズ含む)となった。

出展者は次のとおり。(★は初出展、順不同)
《PVファブリック》★興和、★柴屋、小松精練、茅ケ崎紡織、エイガールズ、東レ「ウルトラスエード」、東紀繊維、クロキ、北高、宮田毛織工業、丸和商事、KANDA、デビステキスタイル、三菱レイヨン「ソアロン」、日本綿布、ケイライン、ショーワ、スタイレム「C.O.T.O.」「ゼン・キワミ」、坪由織物、宇仁繊維、桑村繊維テキスタイル2課、広撚、ミナミ、龍定名古屋「JAファブリック」、田村駒「プレミアムリネン」、福井経編興業、中外国島、東光商事「ニットコレクション」、三星テキスタイルグループ三星毛糸、コッカ、チクマ、東レインターナショナル、タキヒヨー、V&Aジャパン、帝人フロンティア「テイジン・テックス」、カネマサ莫大小、サンコロナ小田、ヤギ、伊藤忠商事北陸支店「リビナックス」(ニットウェア・ソリューションズ)島精機製作所

《PVヤーン》三菱レイヨン、旭化成、東洋紡エクスラン事業総括部、村田機械

《PVアクセサリー》SHINDO、岩井レース「カワイイ・レース」、御田釦販売、島田商事、日東ボタン、アイリス、清原

《PVレザー》★小松精練、★ヒライコーポレーション「ランタン」、坂本商店、でんでん「京都レザー」

2016年(平成28年)6月28日 火曜日 繊研新聞4面

スタイレム “圧倒的な品ぞろえとサービスで幅広いニーズに対応する” 小川修/社長

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瀧定大阪のサプライヤー事業を移管し昨年設立されたスタイレムは、徹底した製販一体の営業体制を貫き、国内はもちろん、海外での評価も高めている。商品とサービスの質向上を図るとともに、海外の素材のスペシャリストをアートディレクターに迎え新たな事業も立ち上げる。名実ともにファッション素材のグローバルサプライヤーへの戦略を本格化させる。

WWDジャパン編集部(以下、WWD):スタイレム発足初年度は減収増益だった。この結果をどう評価する?
小川修・社長(以下小川):当初から減収の計画だった。これまで積極的な拡大を推し進めてきた製品事業では無理な注文を引き受けず、受注を精査した。製品事業を担うガーメント事業部内のグループを整理し、無駄をとことん排除することを優先した、その一方で主力の生地事業は国内に加え、欧州や北米、中国、韓国、中近東といった海外の主要エリアは全て増収増益となった。中国を筆頭に、日本製の安心・安全性への評価が上がっていると実感している。世界的に見ても、我々ほどトレンドを踏まえた生地の品ぞろえが充実している素材サプライヤーはない。今期も日本を含め、世界各地域で新規顧客の開拓に力を注ぐ。
WWD:新規顧客へのアプローチ方法は?
小川:われわれの持ち味はフェース・トゥー・フェースの営業力だが、サービス面での質を向上させたい。そのためにまずは、取引先のいる場所に私たちが積極的に近づいていかないと。5月2日に東京事務所を日本橋から原宿に移転し、商品をゆっくり見ていただけるように約2000品番のテキスタイルサンプルを備えたショールーム「スワッチギャラリー」をオープンした。この数年進めてきたITシステムの精度も高めていく。すでにウェブストアを通じて素材の混率や収縮率、堅牢度といった品質データを閲覧していただける状態にあるが、今後も利便性を高めて、さらに進化させていく。一歩一歩であり時間はかかるが、非常に付加価値の高い情報のマトリックスになる。いずれはお客さまのシステムともつなぎ込めるようにしたい。
WWD:国内産地との取り組みは?
小川:世界の中で日本の繊維や機械の評価は高く、ベースの部分の競争力はある。そういった日本の競争力を生かし、ガーメント事業部で展開している「今治謹製」タオルは非常に好調で、シリーズ累計600万枚の販売を突破した。国内で順調にブランドカを高めてきたが、今後は海外への発信も考えている。また、生地事業においては先月に「リモンタ」前アートディレクターのマウロ・クレリチ氏を起用し、国内産地のサプライチェーンを使ったメード・イン・ジャパンのテキスタイルコレクションを立ち上げた。
WWD:改めて、スタイレムの使命とは?
小川:最も重要なのは品ぞろえとリスクカだ。われわれはメーカーではないので、工場を持って生地を作るわけではない。工場は生産ロットという制約があり、それがアパレル企業の需要と合致すれば良いが、両者のギャップはつきものだ。そのギャップを解消するにはわれわれのような服地問屋のリスク機能がますます必要になる。同時にわれわれはブランドと産地のすり合わせ役としての機能を磨くことで、マーケットが求める商品を圧倒的な品ぞろえで実現している。その意味では、今後は次世代の商品を作り続けることも大きな使命だ.プロダクトアウトとマーケットインの双方に高いアンテナを持ち、元気があるマーケットを探っていく。そのためには、「ウエアラブル」といった最新ITについての知識など、興味の幅をさらに広げていかなければならない。
WWD:リスク機能はどう磨く?
小川:リスクカというのは結局、突き詰めればマンパワーに行き着く。テキスタイルを作るにしても、産地や工場に信頼してもらえなければ実際に商品は作れない。産地との信頼関係はコミュニケーションと取引を通じて積み上げていくしかないが、コミュニケーションの取り方は人によってさまざまで正解はないし、数字化できるものではない。とはいえ、信頼を得る最大の手段は売ることだ。そして発注を継続することが、利益の面で一番工場にとってメリットになる。だからこそわれわれは製販一体の“ドブ板営業”を長年続け、それが強みになっている。生産も販売もグローバルになってきている今、個人同士の関係からチーム同士の信頼関係がますます大切になってくる。
WWD:今、求める人材とは?
小川:必要なのは“素直な人”。われわれのポジションは製造業とリテールの中間に位置する、マーケットはますます多様化するし、技術も日進月歩で変化している。いろいろなことに興味を持つ必要があるし、かといって一つのコトに固執し過ぎると商機を失う、ファッション自体が今後は、デジタルと融合したウエアラブルに象徴されるように、服だけでなく、ITやライフスタイル全般に広がっていく。政治、経済、テクノロジー、環境など、何にでも興味を持ち、貪欲に吸収することがますます求められるだろう。
WWD:ここで言う“素直さ”とはどのような人間性を指すのか?
小川:当社は課長の権限が強いため、課長職になると課員たちのマネジメントが通常の会社以上に重要であり、多くの人間を見てきた。その経験を踏まえると、人間性は困難にぶち当たったときににじみ出てくるもの。例えば当社の場合、入社後に担当するデリバリー業務は非常に作業量が多く覚えることが多いため、多忙を極める。そうしたときに要領よくこなす人もいれば、あまりの大変さに泣き出してしまう人もいる。だが長い目で見れば、要領がいい人よりも、素直に正面から向き合って泣いてしまうくらいの方が伸びる場合も多い。先ほど言ったようにファッションの価値が多様化する中で、私が現場にいたときとは比べ物にならないほど、未知のことが今後はもっと増えてくる。今後当社がそうしたことを乗り越え、新しい“商い”を生み出すためには、素直に向き合うこと以外にはないのだから。

TOPICS 東京・千駄ヶ谷に「スワッチギャラリー」を開設
スタイレムはこのほど東京・千駄ヶ谷に、約2000品番の最新のテキスタイルサンプルの閲覧・セレクトが可能な「スワッチギャラリー」をオープンした。スタイレムと取引関係のある企業なら、予約の上使用できる。テキスタイルの見本は同社の課ごと、あるいは素材カテゴリーごとにファイリングされており、利用者は欲しいスワッチサンプルを、その場で受け取れる仕組みになっている。
服地卸として日本最大手の同社は、独自のリサーチカと企画力を武器に特にウィメンズ向けで圧倒的なシェアを持ち、ベーシックなシフォンやタフタ、ニットから、プリント、レースなど、常に約3000品番以上のテキスタイルを企画・生産・在庫・販売している。一堂に集結した同社の幅広いリスク商品をタイムリーに見ることができる。シーズン性を考慮し、月ごとに商品を入れ替える。

2016年(平成28年)6月27日 月曜日 WWD JAPAN BUSINESS 繊維商社特集15面


気勢と抑制 17年春夏ファッションテキスタイル中 最有力はスポーツミックス 色、風合いでよりフェミニンに

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ナチュラル志向が継続する一方で、ハイテクや機能性を感じさせるテキスタイルに熱視線が注がれている。多くの企業が企画の一つに打ち出したのが、スポーツミックス。スポーツ要素の取り入れ方は様々だが、いずれもフェミニンをベースにしている。吸水速乾、汗染み防止、UV(紫外線)カットなど機能素材も活用し、美しさと快適性の両方をかなえる。

女らしくこなす
トレンドに浮上して久しいテイストミックスは、16~17年秋冬のデザイナーコレクションで“コラージュ”“パッチワーク”と表現されるように一段と重層的になっているが、日本では、ベーシックな素材を基本にしたスポーツミックスが隆盛を極めそうだ。スポーツテイストの強いアスレジャーというより、ハイテク感のある素材をフェミニンなスタイルに落とし込むのが大勢。カジュアルでも、優しい色使いや柔らかな風合い、センシュアルな透け感あるテキスタイルで女らしくこなす向きが強い。久しぶりに回帰しそうな光沢は、この企画で活躍しそうだ。

スタイレムは、アスレジャーのトレンドを意識し、糸軸や後加工で光沢を出した化合繊で、スポーティーなムードを提案する。ポリエステル100%のベーシックな素材には、全面に銀や銅の箔加工を施し、強い光沢をまとわせた。金属のような硬質な印象とドレープ性を併せ持ち、プリーツ加工との複合も可能。糸軸では、キュプラやトリアセテート、化合繊のモノフィラメントを駆使。トリアセテートと細番手の超長綿を混紡して、高密度に織り上げた二重織りは、光沢感や柔らかさに加え、適度な膨らみも持ちアウターに向く。キュプラは撚糸を強めにかけ、キュプラ本来の接触冷感を一段と高めた。ポリウレタン混でストレッチ性もあり、着心地を訴求する。

瀧定名古屋の春向けは、フェミニンにスポーティーな要素を加えたテキスタイルがいっぱい。アウター用途は、ブルーやイエロー、赤と華やかな色で彩った。タイプライターのような高密度ジャージー、ビンテージの雰囲気を醸し出すナイロンタフタなどハリ・コシある素材をスポーツパーカやトレンチコート向けに打ち出した。

機能素材に広がり
商社でも、スポーツミックスの提案が目立った。商社のOEM(相手先ブランドによる生産)は、独自に調達、開発した素材を切り口にした差別化競争が激化。外観だけでなく独自素材を中心とした機能素材が積極的に活用された。

帝人フロンティアはレディス衣料で、スポーツとフェミニンの融合をテーマに、帝人の機能素材を使った製品サンプルを充実した。スクエアレースのような外観で通気性と吸汗速乾性に優れた「エアインプレッション」とケミカルレースを組み合わせたドレスや、高撥水素材「ミノテック」のしなやかさと適度なハリ・コシを生かしたクラシックラインのドレスなどを作った。

蝶理は、スポーツ向け主力の合繊・テキスタイル部と連携し、機能素材をファッション衣料に落とし込んだ。機能だけでなく、ラミネートやモノフィラメント、箔加工などの未来的な光沢やオパール加工、カットジャカードの透け感を取り入れながら、スポーティーとモードの融合を狙った。

丸紅ファッションリンクは、「スポーツテイストやユーティリディー感覚に遊び心やポップなムード」を推す。アウター向けは、オーガンディやパラシュートクロス風など、合繊らしい質感や光沢を備えた薄地が中心。洋服のアクセントになるメタリック加工や、2色使いのダブルラッセル、ボンディングの立体的なメッシュ、パステルカラーのジャージーなど、スポーツに着想を得ながら、女性らしさも兼ね備えるテキスタイルを充実した。

2016年(平成28年)7月1日 金曜日 繊研新聞4面

スタイレム製品事業 インドを新拠点に 半年で年間生産見込みクリア

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スタイレムのガーメント事業でレディスヤングカジュアル向けODM(相手先ブランドによる設計・生産)を担うVPグループは、インドを中国に次ぐ生産拠点と位置付け、取り組みを深める。同グループの上期の業績は有力顧客との取引を強め、増収増益ペースで推移している。

同グループのアパレル生産の9割は中国。ベトナムやバングラデシュなどもあるが一気に強めるのがインド。インド法人、スタイレムインディアを活用し原料調達、生地生産、染色加工、縫製までをインド国内で完結する仕組みを構築した。16年春夏向けから始めたばかりだが、年間目標とする30万枚を生産した。年間では40万~50万枚になる見込み。

「他社がインド生産から撤退したのは納期と品質の管理が難しいから。当社は現地法人の活用で安定させ、他社にはないインド一貫のスキームが評価されている」(藤本和矢部長)という。独自の強みを発揮するためインドでの一貫生産をプロジェクト化し、3年で年間100万枚規模にする考え。「生産枚数の増加よりも納期、品質の管理を徹底することが先決。コストメリットがあるので枚数はついてくる」と見ている。

縫製工場はチェンナイの2工場に絞り込んだ。レディスのパンツが全体の7割で残りはシャツ中心だが、ブラウス、スカート、ワンピースなどアイテムが広がってきた。印・バルドマン」との協業など独自生地が大半になっており、綿に加え、ポリエステル・レーヨンなど素材も広がつている。

17年春夏からはデニム、インディゴアイテムがスタート。加工、縫製もインドで行う。ジーンズに加え、切り替えやブリーチを施したデザインシャツも作る。17年春夏展では「はき心地が良い」と新アイテムのジャージーパンツも人気だった。今秋冬向けからメンズ向けも始め、今後子供服にも広げる。

2016年(平成28年)7月7日 木曜日 繊研新聞4面

ミラノウニカのプレビュー展「プリマ」 出展企業、バイヤーが倍増 7月の商談ニーズ高まる

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【ミラノ=高橋恵通信員】17~18年秋冬向け素材のプレコレクション展、第2回プリマMU(会場フィエラ・ミラノ・シティ)が8日、2日間の会期を終えた。同展は年に1度、7月上旬に開き、9月のミラノウニカ(MU)に出展する企業が一足早くプレコレクションを発表する場だ。初の試みだった前回と比べると、出展企業は66社から133社へと倍増。ファッション業界全体のタイミングが早まる中、この時期の商談ニーズが高まっていることを裏付ける。今回から、海外からの出展も受け入れた。出展社の内訳は、伊118、日本6、仏5、ポルトガル2、英、スロベニア各1社。来場者も倍増し、1447社・2900人が訪れた。ほとんどが伊からの来場だった。

エルコレ・ボット・ポアーラ会長は同展について「世界で唯一の、メンズとレディス両方を扱うプレコレ展。バイヤーと具体的な商談が行われる、質の高いビジネスの場」と話す。パリのプルミエール・ヴィジョン(PV)による初のプレコレクション展、ブロッサム・PVが後発ながら同じ日程で開かれ、伊の出展者の中には「スタッフを2チームに分けて対応する」(ファリエロ・サルティ、マリー二・インダストリー・グループ)などして、両方に出展する企業もあった。

ジャッキーテックスは「メンズ向け、レディス大手向けは、今がタイムリミットなので、出展は有効。9月展はサンプル発注のみで終わる小さな企業も多いが、7月展は本気で買い付けるバイヤーが来る」という。マリー二・インダストリー・グループは、9月展の約半数のサンプル、約300ピースを展示。「ここからのフィードバックを本コレクション作りに生かせる」。今回は、ビエラの毛織物企業や、伊の付属品メーカーらも出展。初出展のヴィターレ・バルベリス・カノニコは「伊のバイヤーが9割。その他、日本、北欧などの企業と商談した」。フォルツァ・ジョーバネは本コレクションの約8割、800ピースを展示。「2日間で110社が来場。最新作は3Dプリンターによる厚みのあるプリント。評判は上々で、9月までにさらに進化したコレクションを作る」と張り切る。

日本からの参加企業は、伊藤忠商事北陸支店、宇仁繊維、スタイレム、瀧定名古屋、西村レース、八木通商。日本企業のブースは会場の端の好条件とは言えない立地だったが、「伊ブランドが多く来場し、商談の質が良いと感じた」(八木通商)、「メンズ用素材のバイイングスタート時期でタイミングが良い。95%が伊のバイヤーで、伊市場向けの展示会」(伊藤忠商事北陸支店)、「ブースへの来場数は少ない。しかし既存客とじっくり商談できる良い面もある」(宇仁繊維)など、適切な会期や商談の質を評価する声が上がった。

9月展の第23回MUは、9月6~8日、新会場「ロー・フィエラ・ミラノ」で開かれる。

2016年(平成28年)7月13日 水曜日 繊研新聞2面

スタイレム 上海現法 上期も大幅増収増益 顧客が顧客呼ぶ好循環で

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【上海支局】スタイレムの現地法人、時代夢商貿〈上海〉は今年上半期(1~6月)も生地の内販がけん引し、大幅増収増益となった。前年同期から伸び率がさらに拡大した。好調の背景には「顧客が顧客を呼ぶ好循環が続いている」(安田季隆総経理)ことがある。

特に売り上げを伸ばしたのが日本製生地で、前年同期に比べ約7割増えた。増収要因は新規顧客の拡大だ。既存客が新規客を紹介してくれるケースが増えているだけでなく、同社営業スタッフの新規開拓も成果を上げた。インターネット専属ブランドなどの新興ブランドとの取引も拡大している。

中国アパレル市場は景気減速などの影響を受け、実店舗を中心に低迷しているが、「中国市場は巨大で、われわれがまだリーチできていないブランドは無数にあり、開拓の余地は大きい」と安田総経理はみる。

一方、好調に水を差しそうなのが急速な円高だが、これに対しては中国でのモノ作りの強化で対応していく。「原料からこだわったオリジナル商品の開発を進めている。当社の知名度と信頼性が高まったことで、中国製ではなく“スタイレム製”として受け入れる顧客が増えている」(安田総経理)

現在は売り上げの8割が日本製で、中国製は2割にとどまるが、今後中国製も大幅に増やしていく構えだ。

2016年(平成28年)7月19日 火曜日 繊維ニュース8面

中国余話 常に緊張感持って開拓

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「(市況低迷が続く中)厳に緊張感を持って新規開拓に取り組んでいる」と話すのはスタイレムの現地法人、時代夢商貿〈上海〉の安田季隆総経理だ。同社は今年上期も大幅増収増益を達成。好業績が続く背景には、新規開拓で絶えず成果を上げていることがある。

「店頭が奮わない中、今期100買った顧客は来期50になる可能性がある。そのため新規開拓が不可欠」。営業スタッフがどぶ板営業に取り組むほか、商品力やサービスが認められ客が客を呼び、開拓は順調だ。「上期だけで何十社も増えた」と言う。顧客が尽きる懸念もありそうだが、「りーチできていないブランドは無数にある。待っていたらダメ。これからも攻める」と強気の姿勢を示す。(上海支局)

2016年(平成28年)7月22日 金曜日 繊維ニュース8面

テキスタイル商況 求められる対応力と突破力 低価格要求 再び

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生地商社のテキスタイル販売事業は店頭の衣料品販売が振るわない中でも堅調な推移を見せている。ただし、「再び低価格品への要求が強まっている」(複数の生地商社や産地メーカー)ことへの懸念は強く、生産調整による数量減の傾向とともに、今後を不透明にさせている。

アパレルやSPAから低価格品への要求が強まっている背景には、15春夏、15秋冬の店頭が天候不順や買い控えを要因に低迷したことがある。ここで「安くしないと売れない」と判断したアパレルやSPAが、生地値の抑制に動いた。

服地業界ではここ2~3年、リーマン・ショック後に加速した低価格品一辺倒からの揺り戻しが起きていた。低価格品一辺倒の際に顕在化した商品の同質化を避けるためと、小売価格を引き上げるために生地からの付加価値化を求める声が力強く台頭し、円安やインバウンド需要も加わって国産品推奨機運が高まった。この傾向は、産地の生産統計や生地商社のテキスタイル販売事業が堅調から好調に推移していたことからも明らかだ。

これに伴い、付加価値化、差別化でしか国内の生地生産、生地販売は守れないとの意識が高まり、川中各企業の方針はこの方向でほぼ一致した。

各社が機能や風合い、デザインなどで工夫を凝らしながら技術力を発揮、国産ならではの付加価値品を開発し、市場にも生地から差別化された製品が並んだ。しかし、15春夏、15秋冬の店頭が振るわなかったため、再び低価格品の必要性を訴える動きが強まった。

それに対し、ある大手生地商社の幹部は「本当にそれでいいのですか?」と商談時に念押ししている。以前の低価格一辺倒時代に消費が喚起されなかった事実があるからだ。むしろ、安易に低価格路線に追随したことにより自分の首を自分で締める結果になったアパレルやSPAも多かったはず。その反省が生かされていないのではないかという危機感がこの言葉の背景にある。

生地商社だけでなく産地企業からも「低価格品を必要とする声が数年ぶりに高まっている」との声が聞かれ、産地各方面からは「また価格競争か……」とのため思が漏れる。

川中各社の対応は、「あの手この手で付加価値品を提案し、できるだけ価格競争を避けるしかない」(スタイレム)、「付加価値品と定番品のバランスが大事。市況は悪いが顧客開拓、用途開発を強めていく」(サンウェル)、「価格要求が厳しくなっているが、開発力や生産性向上など自分のすべきことをするだけ」(小松精練、丸井織物)、「守りながら攻めへの準備を整える」(福井経編興業)―といったもの。

低価格要求の高まりを筆頭に市況悪化が続く中、現状への柔軟な対応力と、現状を打破する強い突破力が求められる。

2016年(平成28年)7月26日 火曜日 繊維ニュース1面

パリで初のブロッサムPV展 日本企業が注目集める 会期は修正求める声も

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【パリ=松井孝予通信員】国際素材見本市仏プルミエール・ヴィジョン(PV)のプレビュー展「ブロッサムPV」17~18年秋冬が、パリ2区パレ・ブロニアール(通称パレ・ド・ラ・ブルス)で2日にわたり初開催された。テキスタイル60社、副資材4社が出展した。

日本からは小松精練、デビステキスタイル、スタイレム「C.O.T.O.」「ゼン・キワミ」、坪由織物、桑村繊維テキスタイル、瀧定名古屋、チクマ、タキヒヨーなどが出展。伊からは最多の30社、仏17社、英2社、トルコ2社、オーストリア、韓国、スペイン、ポルトガルからはそれぞれ1社だった。グリエルモ・オレアーロ同展ディレクターは、「日本の出展者はみなレベルが高く、この展示会にとって宝石のような存在」と語った。

来場者数は861人で、仏国内が86%、英3.5%、伊2.5%、日本2%、米1%の順。ラグジュアリー、デザイナーブランドの来場者が大多数を占めた。主催者は質の高い集客力、プレコレクションに適応、PV9月展との補完性のある展示会と強調した。

日本企業出展者は、PV本展と比較し、会場の地の利の良さ、歴史的建造物に指定された19世紀の建物での開催を評価。スタイレムは、エコレザーや化繊の光沢のあるビンテージ加工のテキスタイルが好評で、初日は約30件の商談があったが件数は期待に届かず、「PVは遅い、ブロッサムは少し早すぎるのではないか」と二つの会期について感想を述べた。小松精練はファッション向け500点を提案。中でも硬質ナイロン「コンブ」のスエードタイプが注目を集めるなど、レディス向けの販売強化への提案が高い評価を受けたという。同ブースは会場で 一番にぎわっていたものの、ブロッサムが伊素材展「ミラノウニカ」のプレビュー展や、パリオートクチュール開催と重なる会期を指摘した。今回の反応を見てPV9月展に向け修正をかける考えだ。

→方、瀧定名古屋は、「非常に効果がある」と同展を高く評価。仏市場をにらんで提案した、仕事場からパーティーにも行けるドレス素材として、手間をかけた合繊が好評だったという。初日の商談は30件を越え、「PV展の既存客が半分だが、これまでつかまえたかったラグジュアリーブランドとコンタクトがとれた」と成果を得た。「反応を分析して8月に修正できる」という。

ブロッサムPVの立ち上げで、独、伊、英のプレビュー展と合わせ、テキスタイルの夏の動きが更に活発化しそうだ。

2016年(平成28年)7月26日 火曜日 繊研新聞4面


商社のテキスタイル戦略 スタイレム 「広さよりも深さ」重視 一体になって改善図る

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スタイレムは日本全国津々浦々のテキスタイル産地と取引実績がある。テキスタイルマテリアル事業部の飯田悟司取締役事業部長は今後の産地との取り組みの方向性を「広さよりも深さ」と表現、産地企業と「一体になって改善を図っていく」考えを示す。

「深さ」の背景には産地規模の縮小がある。飯田取締役によると、以前であれば「なんとかしてよ」と頼めばなんとかしてくれた。しかし今は本当になんともできないほど設備と人が減っており、受注が集中するとすぐにパンクしてしまう。これでは生地商社として顧客への“供給責任”が果たせない。その改善が産地との取り組み深耕という。

「深さ」を具体化する施策の一つが閑散期を見越した早期の発注。繁閑差が薄まってきた北陸産地とはこの関係が徐々に構築できているという。一方、春夏と秋冬の繁閑差がまだ激しい尾州などでは課題を残す。

同社のオリジナル開発強化も産地にとっての朗報。例えばマテリアル部門で取り扱う羊毛原料で原産地からこだわった動きを強めているのは、「安易な価格競争を避けるため」でもある。これにより同社が価格を維持、あるいは引き上げることに成功すれば、産地企業への工賃引き上げにもつながる。

産地の置かれた状況は厳しく、「(生き残るには)一緒になってさまざまな手を打って行く必要がある」。将来的には「設備投資も視野に入る」(飯田取締役)と言う。

2016年(平成28年)7月28日 木曜日 繊維ニュース8面

スタイレム マウロ・クレリッチ氏と協業、2コレクション 日伊の産地を生かして

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スタイレムは伊テキスタイルメーカー、ネロ・ス・ネロの創業者であり、リモンタの前クリエイティブディレクターを務めたマウロ・クレリッチ氏と協業し、伊と日本の産地で生産する二つのテキスタイルコレクションを立ち上げた。7月に開かれた素材展ミラノウニカ(MU)のプレビュー展「第2回プリマ」でデビューした。

伊コモ地方をベースにクレリッチ氏と作るコレクションは、「エディツィオーネリミタータ・コモ・コレクション」。今回はジャカードに絞って企画し、すでに200型が揃う。レディス向けが中心で、「インパクトのある柄など面白い生地ができた」とスタイレムの谷田修一取締役グローバル事業部部長。今後、9月にパリで開かれるプルミエール・ヴィジョン(PV)パリなどで打ち出し、デザイン、価格ともにバリエーションを広げる。

5月にクレリッチ氏と契約し、まず進めたのが、日本の産地との取り組み。「クレリッチ氏のクリエーションと日本の産地の特徴、技術を融合する」とテキスタイルコレクション「ゼンブラック」を立ち上げた。クレリッチ氏は伊のほかに、中国の活用などアジアのコレクションでは実績があるが、日本のサプライチェーンでコレクションを作るのは初めて。日本の各産地を回り、絞り込んだ上でMUのプレビュー展で打ち出した。「日本の産地はメンズ向けとの相性が良いのでは」とメンズ向け中心からスタートした。

「日本で作る意味」を追求し、現在の約100型をPVパリでは200型にまで広げる。「良い生地を作るだけでなく、売れる体制を築き上げることが大事」と、5月にはミラノで事務所を立ち上げ、エージェントの数を倍増するなど欧米での販売網の拡張に力を入れる。

2016年(平成28年)8月4日 木曜日 繊研新聞4面

商社のテキスタイル輸出 ブランド戦略で円高跳ね返せ

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商社のテキスタイル輸出が伸び悩んでいる。円高基調に加え、欧州や中国市場の冷え込みから、ファッション向けを中心に今後も「厳しい」との見方だが、「まだ再強化し始めたばかり。やめるという選択肢はない」(ヤギ)との声が大勢だ。「円高に対抗するには付加価値を高めるしかない」としてブランディングを進める。一方、「為替の影響をできるだけ抑える」ため三国間取引も強めている。

三国間取引も強化
ヤギは欧米向け生地輸出を強めるため、1月に立ち上げたプロジェクトチームを4月には専門部署に格上げした。今年2月からプルミエール・ヴィジョン(PV)パリに出展し、イタリアの生地展にも出る。

新ブランド続々
欧州では「コンフォータブルアウターウェア」をコンセプトに、アウター向けの上質な日本製ジャージーに絞って提案、手応えを得ている。円高に対し、「付加価値をさらに高める必要がある」ため、17~18年秋冬向けに生地独自ブランド「ゴート」を立ち上げる。コンフォータブルアウターウェアをさらに厳選し、当面欧米でのみ販売する。

伊藤忠商事北陸支店は元々アクティブスポーツ向けだったテキスタイル「リビナックス」を今春リブランディングした。従来の機能素材に加え、カジュアルウェア向けの快適素材コレクションなど3ラインに拡大。バリエーションを充実し、9月のPVパリで打ち出す。

海外向けの生地ブランディングで先行するのはスタイレム。ハンドクラフト的な「C.O.T.O.」に加え、企画段階から海外顧客のニーズを反映した「ゼンキワミ」などを欧州で継続して打ち出し、伸びている。さらに強めるため、伊のテキスタイルメーカー、ネロ・ス・ネロの創業者のマウロ・クレリッチ氏と5月に契約し、日本の産地を活用した「ゼンブラック」とクレリッチ氏が伊コモ地方をベースに作る「エディツィオーネリミタータ・コモ・コレクション」を立ち上げ、7月のミラノウニカ(MU)のプレビュー展でデビューした。

世界で売る仕組み
PVパリ、MU、独ムニック・ファブリック・スタートに加え、それらのプレビュー展への出展が目立つ。しかし「展示会に出るだけでは駄目。売り切る体制が必要」。エージェントの増加に加え、スタイレムは5月、ミラノに事務所を開いた。田村駒は11年秋から継続出展するPVパリに加え、米国市場を攻めるためニューヨークとロサンゼルスのエージェントと契約し、「実績ができてきた」。

「事業の継続性を考えると為替の影響はできるだけ抑えたい」。八木通商は日本からの輸出に加え、戦略的に三国間取引を強めてきた。特に好調なのが中国で開発する生地を北米のアパレルや小売店に販売する取り組みだ。ドルベースの売上高は前年比20%増で伸びている。田村駒も先日設立したタイの現地法人などを活用し、三国間取引を増やす考えだ。

「日本からの輸出だけだと限界がある」。スタイレムは日本、イタリア、中国、韓国の4拠点を軸に生地の開発、販売を進める。「日本で売るように世界で販売できないと大きなビジネスにはならない」として、各産地を活用し商材の幅を広げながら、世界で販売するための仕組み作りにも力を入れる。

2016年(平成28年)8月5日 金曜日 繊研新聞1面

スタイレムの海外テキスタイル戦略 日、伊、中、韓の4極活用 11月、韓国に現地法人

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スタイレムはテキスタイルの生産、販売で世界戦略を進める。海外向けテキスタイル販売は前期(16年1月期)で100億円を突破したが、「もっと大きくするには日本でやっていることを世界でもやる必要がある。世界の産地で生地を開発し、世界で売り切る仕組みを作る」(谷田修一取締役グローバル事業部事業部長)考えだ。日本、伊、中国に新たに韓国を加えた4極を軸とし、生地開発と販売を進める。

「日本からの輸出中心だと生産数量や価格、納期などで限界がある」と、世界で特徴を生かしたオリジナル生地を作ることで、バリエーションと価格帯を広ける方針だ。

世界戦略を進めるため、11月予定で韓国・ソウルに現地法人を設立する。現在韓国には拠点はないが日本製生地の販売が伸びており、法人を立ち上げて17年度で7億円の売り上げを目指す。人員は8人でスタートし、合繊を中心に調達、開発も進める。

伊でも様々な手を打っている。伊法人のイタリア人デザイナーが作るオリジナルファブリック「レティンテ」が軌道に乗り、欧米向けが前年の2.5倍ベースで伸びている。5月には伊テキスタイルメーカー、ネロ・ス・ネロの創業者のマウロ・クレリッチ氏と契約。すでに日本の産地を活用する「ゼンブラック」と伊・コモ地方をベースに作る新コレクションを7月に開かれた国際素材展ミラノウニカのプレビュー展で提案した。伊での販売を強めるため5月、ミラノに事務所を開き、エージェントも倍増した。

上海、深圳、香港に現地法人を持つ中国では年内にも北京に拠点を作り、北京近郊の市場を開拓する。中国内販向けは日本製生地が中心のため、中国での生地開発にも力を入れ、生産量の拡大と価格バリエーションを広げる。

またインド法人が開発した高級綿生地を、北米の有力ブランドに販売するなど「為替の影響を抑えるためにも外・外ビジネスはさらに強める」考えだ。今期(17年1月期)の海外向けテキスタイル販売は、前年に比べ十数%の伸びで推移している。「米国向けは良くはない」「円高で厳しい」ながらも、欧米向けと中束同けが約20%伸びている。

2016年(平成28年)8月12日 金曜日 繊研新聞4面

服地コンバーター・卸の15年度 3期連続で増収 輸出比率高まる

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服地コンバーター・卸業界の存在感が増してきた。厳しい市場のなか、アパレルメーカーやSPA(製造小売業)が開発から仕入れまでの生地調達のリスク軽減を進め、結果として生地調達を服地コンバーター・卸に依拠する傾向が強くなってきたためだ。とりわけ国内外に幅広いネットワークを持ち、生産や在庫の能力も高い大手クラスへの期待感が高まっている。

繊研新聞社が行った15年度の服地卸のランキング調査によれば、30社の合計売上高は前期比3.6%増の1828億9900万円となった。13年度から3期連続での増収となった。とりわけ上位10社は、総売上高が前期比4.3%増の1514億2300万円で、全体の伸び率を上回った。

トップのスタイレム(14年に瀧定大阪の服地部門を継承して発足)は4.2%増の494億9100万円。3期連続の増収で売上高が500億円に迫った。2位の瀧定名古屋も好調で、15年度は10.2%増の403億5700万円と高い伸びを示した。3期連続の部門増収で、400億円を回復した。

3位のサンウェル、4位のタキヒヨーまでが売上高100億円超で、3期連続の増収。5位の双日ファッションも前年度に続いての増収で5.5%増の93億8200万円となった。

注目されるのは海外市場への販売が着実に増えている点だ。トップのスタイレムは輸出比率が21%で、11年が8%、12年が7%、13年が13%、14年が15%と伸びてきた。2位の瀧定名古屋も堅調な伸びを示し、今年度は5%となった。

3位以下も輸出を増やしており、サンウェルが10%、タキヒヨーが27%、双日ファッションが8%で、この5年間で輸出比率は高まった。

中堅以下でも宇仁繊維が15%、東光商事が15%、北高が13%、クリスタルクロスが10%、コッカが9%など海外市場への販売を確実に広げている。

とりわけ国別で大きな割合を占めるのが中国で、スタイレムが45%、瀧定名古屋が42%、サンウェルが43%。今後も現地アバレル産業の成長に伴って販売額の拡大が予想される。

一方、タキヒヨー、東光商事、コッカなどは欧米向けを主力にしており、特徴がある日本製生地、あるいは日本企業が管理するグローバル生産の生地は増える見込みだ。

2016年(平成28年)8月17日 水曜日 繊研新聞1面

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